海神の唄 -[R]emember me-

バタフライ・エフェクト―ケイショウヲナラスダレカ― Re:Ⅴ

「話を戻すね、結局何が原因で七海が死んだかは分からってない。ソレを確かめる術もない、だから七海は本当に気を付けて欲しい。潔と曽根は対策が取れるかもしれないけど」
「――そうだね、何が原因かが分かってないなら防ぎようもないもんね、でも分かっていても防ぐことが出来ないんじゃない?」
「どう言う事でありますか七海?」

 神妙な顔をで話を聞いていた七海がそう言うと、曽根が顔を上げて正面に居る七海を見た。

「だって、孝雄の話を聞くと世界は収束する・・・・・・・んでしょ? なら対策を講じた所で私達三人が死ぬことは変わらない、何をどう足掻いても死ぬ未来が訪れるのなら、そうなってしまうのなら結局な所私達三人は死んでしまう。そして――」

 そこで言葉を詰まらせた。
 七海がその先、何を喋ろうとしたのかは十分理解できていた。三人の死が回避できず、終末へ収束してしまうのだとしたら、その先何が待ち受けているのかは僕だけが知っている。
 そう、僕だけがまた取り残されて、同じようにループする。
 七海が言いたい事はソレだ。

 その推察は間違っていないと僕も考えていた。結局どう足掻いてもどうにもならないのだとしたら、この無限地獄から抜け出せないのなら何をしても無駄だという事。
 ならば、このループから抜け出す方法を探すしかないんだ。

「そうでありますな、結果としてそうなってしまうのであれば意味が無いでありますな。また今朝の様な孝雄の姿を、何も知らない自分達が見る事になるのでありましょう」
「それじゃぁどうするんだよ、このまま手を打たずに孝雄が苦しむ姿を見続けろって言うんじゃねぇだろうな?」
「そんな事は言ってないよ、でも情報が足りなすぎるって孝雄も言ってたでしょ。だから今は何も出来ないんだよ」

 三人がそれぞれ言葉を交わしながら議論が始まろうとしている。でも、その議論の中に答えはきっと見つからない。簡単に見つかるような話でもないと思っているのは、他の誰でもない。僕自身だ。
 科学で証明できない事象を、ただの高校生四人がどうやって解決へと導けばいいのか。僕達は何の変哲もないただの高校生だ、物理学も化学も、宇宙論の専門家でも何でもない。
 潔は仲間思いないいやつだけど、僕達の中じゃ一番頭が悪い。
 七海は頭が良いけど、体育会系のただの女子高生だ。
 曽根はミリタリーオタクだけど、科学や物理学に詳しい訳じゃない。重火器の扱いなどは詳しそうではあるけど、今の状況で使える知識は無いに等しい。

 僕と言えば、多少かじった程度で博士号を持ってる訳でも専門家でも何でもない。ただのサイエンスフィクションが好きな、文学オタクだ。

 三人揃えば何とかの知恵とは良く言ったものんだ。
 何も導き出すことのできない状況で、何も回答を得られる訳でもない中、普通の人間が三人揃ったところで何も解決することは出来ない。そう、世界はそんなに甘くできていないんだと痛感する。予想以上に、想像以上にこの世界は残酷だ。

「なんにせよ、気に病むことはありませんぞ孝雄」
「どう言う意味?」

 突然話を切り出して僕へと言葉を掛けてきたのは曽根だった。普段のおちゃらけた表情ではなく、何かを悟ったような顔をしていた。

「人間、いつかは死ぬもんであります。ソレが早いか遅いか、それだけでありますよ」