「問題はここからなんだ。仮に僕が観測者だった場合、現時点で僕は今までの行動と違う事をしている。その小さな違いが世界に及ぼす影響はまだ小さいけど、確実に何かが変わって終わりを速めるのかもしれない」
「観測者って、どう言う意味?」
「文字通りの意味でありますよ七海、世界の事象が孝雄を中心に動いていると仮定した場合、孝雄の見た物感じた物思った物が世界に影響を及ぼすのであります。この手の題材をテーマにした作品ではよくある話ではありますが、コレは現実であります」
「じゃぁ、コイツが取った行動一つで何かが変わっちまうってんだろ? 今まで俺達にこの話をしてこなかった世界と、こうして集まって打ち明けた世界とじゃ丸っきり違う世界になってるって事か」
「可能性としてはそうだと思う、でも――」
全てを否定できる要素は何一つなかった。
前提として馬鹿げている話だと思っているのが一つ、自称神様とやらが何を考えてこんな事をしているのかと言うのが一つ、そもそもの話、何故僕が観測者になっているのか。何故僕だけがこんな事象を体験しているのか、何故――考え出すと何一つ答えは纏まらない。
「取り合えず、僕が経験した二週間の話をするよ。その結果どうなったか、何故今こうしているのかも含めて」
三人が振り返って僕を見る、互いに顔を見合わせて頷いた後、七海がカーテンを閉めて皆が元の位置へと戻る。
床に座る僕と潔、ベッドに腰かけている七海、椅子の背凭れに両腕を載せて座る曽根。それぞれが元の位置に戻った。
「まず、最初に話をしたけど僕は同じ世界を二週経験してる。到底信じられない話だと僕も思うけど、実際記憶にあって、そこで何が起きたかを説明できる。今の雪もそのうちの一つ。問題はいくつかあるんだけど」
最初に何を話すべきかをまず頭の中で整頓する、体験した事か、この先何が起きるのか。いや、それ以上にある程度想像で理解できている事を語るべきなのかもしれない。
「もしかしたら、何度も何度も同じ一週間を繰り返している可能性があって、何が原因か分からないけど、この二週間の出来事は全て記憶があるんだ、それ以前の記憶は全くない。それに関連しているのか分からないけど、二つの現象が今僕に起こってる」
「二つの現象って?」
「見ている世界がブレる事、それと同時に世界にノイズが走る事。コレが今僕を襲ってる謎の現象。想像してみて七海、突然目の前で七海の行動がブレて二重に見えるんだ。そこにノイズが走って酷い頭痛に襲われる。コレが今僕が体験している事の一つ」
現状はノイズもブレも発生していない。
コレで大体の理由は想像が付いた、考えていた通り、僕が体験した事の近似値が発生した場合に起こる現象がコレだ。つまり、今この現象が発生していないという事は、どの一週間でもこうして今日皆を集めてこの話をしていないという事。もしもソレをしていたのならノイズとブレが発生しているだろう。そう、コレは初めての試みなんだ。